フィリピンとマニラ首都圏の、新型コロナウイルスの影響について


移動や外出を厳しく制限

 

 フィリピン政府ドゥテルテ大統領は新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、今年3月15日に厳格なロックダウンを宣言しました。0~20歳は完全に外出禁止とし、買い物などには各家庭で21歳以上の許可された1名だけが外出できるという厳しい制限です。無許可の人が出歩かないよう、警察が巡回・指導に当たりました。

 首都マニラでは、他地域との出入り制限措置として主要道路に検問所を設置し、自動小銃を持つ警察官や軍が監視してきました。また、フィリピンの人口の約半分が住むルソン島では、ほとんどの施設が閉鎖され、公共交通機関も利用できなくなりました。

 それにもかかわらず、新規感染者が多い時には1日に5000人を超えることもあり、累計感染者数は8月末に21万人以上と、日本よりはるかに多くなっています。

 

警察指導の下、感染症対策を学ぶ。

 

 

非常に困難な経済状況

 政府は低所得者に対する給付金を実施しましたが、銀行口座の保有率の低さなどから全てに行き渡らず、一家に対する配給米も大人数で暮らすフィリピンの家庭では十分ではないまま5月に終了しました。

 外出制限は強化と緩和を繰り返し、8月19日の緩和措置では飲食店などの営業も再開しました。しかし、マニラ首都圏各市では、21歳以上の20時~翌5時までの夜間外出禁止などが続いています。

 6週間という世界最長のロックダウンによる経済への影響はとても深刻で、民間調査機関が7月上旬に行った世論調査によると、45.5%が失業中という過去最悪の状況になっています。